リスの願い事 |
※アバターとかOZの世界観とか捏造ばっかりでご都合主義です。 ―――ピコンッ! 最近訪れるようになったプライベート用のチャットルームで、マスターからプレゼントされた数学の問題集をめくっていたリス型のアバターは、聞こえてきた独特の電子音に嬉しそうに顔をあげた。 このチャットルームはVIP用の中でも特別なもので、ただ一人のために用意されたものだ。しかも、アドレスとパスワードを知っているのは彼と自分だけなので、視線の先には勿論この部屋の持ち主である彼―――キングカズマがこのチャットルームに入ってきたところだった。 「カズマさん、こんにちは!」 満面の笑みで駆け寄ると、キングカズマの目が僅かに和らぐ。決して口数の多くはない友人の、けれども確かな親しみが籠った動作に、ケンジの胸がほわりと温かくなった。 そのまま長い腕に抱きあげられて、設置された大きいソファに二人で腰掛ける。ケンジの居場所はキングカズマの膝の上だ。初めこそ憧れの人の膝の上に居座るなんて!と、照れと緊張と申し訳なさでいっぱいだったが、当のカズマは全く涼しい顔をしているしやめてといってもやめてくれないし、より近くに居れるほうが実際自分も嬉しいわけで。恥ずかしさは消えないけれども、最近は大人しく定位置となったこの場所に落ち着いている。 「今日のOMCも、すっごくかっこよかったです!」 「ありがとう。ケンジにそう言ってもらえると嬉しい。」 そうやって、自分の言葉に答えてもらえて僅かにでも笑ってもらえて名を呼んでもらって。それだけで己という存在が酷く素晴らしいものに思えるから不思議だ。何の変哲もない、まるでタヌキと見紛うような不細工のリスでも、目の前にいる彼が笑いかけてくれるのならば、それだけでいい。 このチャットルームに、例えマスターがログインしていない状態でも自由に出入りできる権限をもらってから、ケンジは空いている時間の殆どを此処で過ごしていた。此処にくればカズマに会える。ただそれだけの理由で。 カズマがどう思っているのかはわからないけれども、結構な頻度でカズマもこの部屋を訪れており、二匹でいろんな話をしている。基本的に喋るのはケンジばかりだが、無口と称されているカズマもケンジの前ではかなり話している方らしい。キングカズマのマスターである和主馬からその話を聞いたときにかなり喜んでしまったのは内緒だ。 (・・・嬉しいなぁ。) マスター同士の繋がりでできた縁だけれども、ケンジはできることならこの関係が、ずっと続いていけばいいと願っていた。勿論、キングカズマはこの世界の英雄で自分なんかが傍にいるなんて相応しくないのだろうけれども、せめて彼が自分を疎まない限りは、その瞬間まではこうやって、一緒に過ごす時間を大切にさせてほしい。 「―――カズマさんとお話するの、楽しいなぁ。」 ぽろりと零れた本音に、カズマの目が見開かれたのがわかる。やばい、と思うと同時に目の前の驚いていた顔が笑顔に変わった。 「うん、僕も。」 ぎゅう、と抱きしめられる感触に、更に体温が上昇するが、拒めるはずもない。ぎゅっと目を瞑って、カズマの声に集中する。 「僕も、楽しいよ。ケンジ。」 それはとても幸せをくれる言葉で。やっぱりこの関係がより長く長く続いていきますように、とケンジにただひたむきな願いを抱かせた。 |
考えていた以上にリスさんがウサギさん好き好き光線ダダもれな話に落ち着いてしまい 書いてる自分がびっくりです。 ウサギさんサイドや中の人たちの話も書いていきたいな。 とりあえずウサリス大好きです…! |
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